ついにAppleとGoogleが動き出した!アプリストア手数料の最新動向をチェック

2021-2-13

「Epic Games」が「Apple」や「Google」に対抗したことで、アプリストアの手数料問題が企業やアプリ開発者以外の間でも話題になりました。

「Google Play」や「AppStore」といったアプリストアにおいては、従来多額の手数料が徴収されており大きな反発を呼んでいました。しかしコロナウイルスの影響もあってか、手数料問題についてアプリストアを提供している企業側で新たな動きが起きているのもポイントです。手数料を減額したり決まりを厳しくして抜け穴を塞いだりと、さまざまな対策が取られるようになっています。

今回はEpic Gamesの問題などでアプリストアの手数料について関心を抱き始めている方向けへ、従来のアプリストア手数料の体系や現状、そして新しい動きなどについて解説していきます。

驚きの30%徴収!今までの大手アプリストア2つの料金体系を解説

アプリストアには「Amazonアプリストア」といったさまざまなストアがありますが、特に大きいのは

  • Androidで使えるGoogle Play
  • iPhone(iOS)で使えるApp Store

の2つです。多くのスマホユーザーがアプリをインストールする際、当たり前のように各アプリストアを利用しています。

アプリ提供企業はアプリを社内あるいは社外で完成させた後、審査を通してアプリを各アプリストアで提供しています。その際アプリストアでは、

  • 利用者への広告提供
  • アプリマーケティングに関するノウハウ提供
  • スタッフを介した厳しい審査

といったサポートでアプリ提供企業をサポートしてきました。

ただしサポートの見返りとして徴収される手数料は、「Apple税」などと呼ばれ揶揄され続けてきたのも事実です。

具体的に説明すると、

AppStore

  • アプリをストアへ掲載する際の手数料:99ドル/年
  • 有料アプリの購入完了時の手数料:1回ごとに30%
  • アプリ内のアイテムやコンテンツに対する課金への手数料:1回ごとに30%
  • サブスクリプション購入にかかわる手数料:初年度30%、1年以上提供で15%

Google Play

  • アプリをストアへ掲載する際の手数料:アプリを配布するごとに25ドル
  • 有料アプリの購入完了時の手数料:1回ごとに30%
  • アプリ内のアイテムやコンテンツに対する課金への手数料:1回ごとに30%
  • サブスクリプション購入にかかわる手数料:15%

となっており、最高30%の手数料が徴収されていました。大企業ならばともかく、中小規模の企業になると30%の手数料は収益に大きく影響してきます。また大企業の場合も、利益を最大化するのが難しいというネックがあります。

しかし今まではAppleやGoogleが大企業というのもあり、積極的に対抗する姿勢を見せる企業がいませんでした(ただし裏では反発する企業が対策を行っています)。慢性化した問題を一般にまで波及させたのはEpic Gamesです。

わざとアプリ内決済を無視してAppleとGoogleを煽った!Epic Gamesの戦略とは

Epic Gamesは「フォートナイト」を始め、さまざまなゲームを開発している大手企業です。また「Unreal Engine」というゲーム制作に使われるプラットフォームを提供しているのも特徴になります。

フォートナイトはAppStoreとGooglePlayでも提供されていました。気軽にフォートナイトをプレイしたい方にアプリは人気があり、大きな収益も発生していました(当初AndroidにおいてはGoogle Playを介さずフォートナイトが配布されていましたが、Epic Gamesが方針を変更してGoogle Playでも提供を始めています)。しかしEpic Gamesは、「なぜAppleとGoogleに手数料を30%支払ってまでアプリを提供しないといけないのか」と反発心を強めていました。

そこでアプリ内決済を介さずにアイテム課金ができる新決済システムを無断でアプリに導入して、削減される手数料の一部をユーザーに還元する施策を取っています。しかし各アプリストアの規約では「アプリ内アイテムに関しては、指定された決済をアプリから利用しないといけない」となっており、アプリ内決済を無視したEpic Gamesは規約違反とみなされました。結果的に2020年8月14日に、両アプリストアからフォートナイトアプリは削除されています。

詳しくは以前ご紹介しています。

【Epicが突き付けた課題】AppleとGoogleのアプリ手数料問題とは?

個人的な見方も混ざりますが、「アプリ内決済をわざと規約違反でかいくぐってAppleとGoogleに対抗する姿勢を見せた」というのが大方の意見です。アプリ削除の直後、明らかにあらかじめ制作した批判動画をすぐにアップロードして公開したのもわざと規約違反を犯したことを物語っています。

Android OSの場合、Google Playを介さなくてもアプリを提供することをGoogleは認めています。このためフォートナイトアプリは以前Androidスマホではインストールしてプレイ可能です。しかしiOSではAppStoreを通してアプリをインストールするよう求めているので、現在iPhoneなどではまったくフォートナイトアプリがプレイできません。そうした状況もあってか、GoogleよりもAppleの方が対立の矢面に立たされているような状況です。

現在カルフォルニアの法廷でEpic GamesとAppleは法廷闘争中です。結果は出ていませんが内容次第ではアプリストア業界に大きな影響が出るでしょう。

AppStoreの手数料が15%に引き下げ!アプリストア手数料に対するAppleとGoogleの新動向

今回のEpic Gamesの問題は、一般人にもアプリストア手数料について考える機会を与えてくれました。30%という手数料が高いのか安いのかは個人の考えにもよると思いますが、「7割しか報酬が入ってこないのはおかしい」と思う方もたくさんいらっしゃいます。実際Epic GamesがAppleとGoogleを訴えた際は、多くの一般人が賛同の声を上げました。

またAppleは「Facebook」からも、中小企業サポートのためにFacebookに導入したオンラインイベントの手数料徴収について反発を受けていたりと多くの大手企業を敵に回している状況にありました。一般人からも批判されている状況で手数料を徴収する体制を変えないのは不利と見たのか、新しい施策で限定的に手数料を引き下げています。

一方アプリストアにおいては、「サブスクリプション課金においてWebサイトで決済を行わせる」といった対策で手数料徴収に対して逃げ道を作っている企業も存在していました。Googleは逃げ道がある現状を快く思っておらず、規約を改正しています。

ここではAppleとGoogle、両陣営のアプリストア手数料に関する新しい動きを解説していきます。

※Facebookの反発などに関する内容は、先ほどご紹介した「【Epicが突き付けた課題】AppleとGoogleのアプリ手数料問題とは?」をご覧ください。

Appleの動き:小規模事業者限定でアプリストア手数料を15%に引き下げ

Appleは2020年11月18日、アプリストア手数料について新たな規約を追加しました。具体的には年額売上が100万ドル未満の小規模事業者に限り、アプリストア手数料を30%から15%へ引き下げることにしました。2021年1月1日時点から適用されています。

アプリの開発には手法にもよりますが大きなコストが掛かります。手数料が30%掛かる状況でビジネスをスタートさせられない企業も多いのが現状でした。しかし売上100万ドル未満の企業は継続的に15%の手数料でアプリを提供できるようになりました。これにより今までアプリ開発に手を伸ばしてこなかった企業もアプリ市場に参入して市場が活気づくと予想されています。

ただし今回の改定にEpic Gamesのような大企業は含まれていません。AppStoreで配布されているアプリのほとんどは小規模事業者のものです。そこでAppleでは手数料を小規模事業者に限って引き下げることで小規模事業者から支持を得て、「多くの企業が15%という手数料でアプリを提供しているから問題はない」という姿勢を見せたいのではないかと指摘する声もあります。

Epic Gamesといった大企業は依然としてAppleから高額な手数料を徴収されるのに納得がいっておらず、しばらく騒動は収まりそうにありません。

Googleの動き:Google Playの規約を改訂、アプリストア手数料回避の逃げ道を塞ぐ仕様に

Googleでは2020年9月28日に、アプリストアガイドラインを変更しました。具体的には「現在アプリストア手数料を回避している企業も、1年後までにアプリ内から決済ができるように準備する必要がある」と変更しています。これにより「Netflix」や「Spotify」といった、Webサイト経由でアプリ決済をかいくぐっている企業の逃げ道がふさがれます。

Android OS環境では、他アプリストアやWebサイトなどからもアプリをインストールできるのがポイントです。Google側は「他にもアプリを提供する方法があるのにGoogle Playをわざわざ使うのならば、それ相応の手数料を徴収してしかるべき」と主張しています。

一方でGoogle Play以外からのインストールも促進できるような戦略を打ち出しました。Android 12以降のOSでは、GooglePlay以外のサードパーティーアプリストアからも簡単にアプリをインストールできるようになると発表しています。セキュリティも確保されるので、ユーザーとしてはアプリストアにかかわらず安全にアプリをインストールできる環境が整備されることになります。

まとめ

今回はアプリストア手数料に関する問題を、AppleとGoogle大手2企業の最新動向を含めて説明してきました。

アプリストアの手数料は長年高いと揶揄されており、Epic Gamesの問題で一般にも課題が明るみになりました。その影響かAppleもGoogleも、アプリストア手数料に関して料金引き下げを行ったりガイドラインを改訂したりとさまざまな対策を打っています。

今後の状況によっては、また新しい動向が見られるかもしれません。最新のトレンドをチェックしてアプリストアへの理解を深めてみてください。

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