【要注意】iPhoneの防水と耐水の違いと仕組み
2020-3-19
今や生活において欠かせないものとなっているスマートフォン。
今の時代どこへ行くにも肌身離さず持ち歩く方も多いのではないでしょうか。
ゲームや動画鑑賞などの暇潰しからSNSなど映え写真の撮影など、人それぞれ利用用途は違えど、トイレ、キッチン、お風呂、プール、海などの水回りで利用する機会はどなたにもありますよね。
今回は「防水」について人気のiPhoneで解明していきましょう。
これを覚えておくとiPhoneだけじゃなく、スマートフォン全般、ケースやフィルムの購入までご自身に合ったものを選択できるようになり、いざという時の対処法も覚えられますので、是非最後までご参照ください。
目次
iPhoneの防水性能について
iPhoneは「防水」ではなくあくまで「耐水」である
スマートフォンの中でも、日本で最も人気のメーカーと言えばやはりApple社のiPhoneでしょう。
iPhoneの防水の歴史は7シリーズから始まり、現在ではiPhone11シリーズが最新機種ですが、今やiPhoneと言えば防水は当たりの機能として認知されていることと思います。
この防水仕様のおかげで“水濡れや水没で故障することは無くなった!”そう思われる方もいらっしゃるかと思います。
逆に“防水仕様なのに水没して電源入らなくなったよ!”なんて経験がある方もいらっしゃることでしょう。
みなさんご存知でしょうか。
実は例え新型iPhoneであってもまだまだ「完全防水」では無いということです。
因みにiPhoeは正確には「防水」ではなく「耐水」なんですね。
「防水」と「耐水」の違い
【防水】ぼう‐すい
水の流入・浸透を防ぐこと。
【耐水】たい‐すい
水にたえること。水にぬれても水分が通らない、また、変質しないこと。
うーん、、、読んでもハッキリとはわかりませんね。
言葉だけだと、どちらも似ていて非常に曖昧で購入する際に“なんとなく”で選ばなくてはなりません。これでは人それぞれ利用シーンが違うのに判断に困りますよね。
そのなんとなくを数字化したものが通称「IPコード」です。
では詳しくみていきましょう。
防水性能の仕組み
IPコードとは
IEC(国際電気標準化会議)と言って国際的な基準によって定められた規格で、JIS(日本工業規格)でも採用されています。
要はiPhone(電気機器)がどれくらいの「防塵(チリやホコリ)」、「防水」への耐性を備えているのかを表しています。
更にIPコードの詳細をみてみましょう。
IPコードの見方
IPコードとは、規定されている保護等級やそれに付随する付加的事項をコード化したもので、International Protectionを表す「IP」で始まる4文字から6文字で記載されています。
例えば下記図のように「IP68」と記載されている場合、IPのあとの一行目は第一特性数字と言い「6」はホコリ等の異物に対する保護等級を示し0-6の7段階で表しています。
二行目は第二特性数字と言い「8」は水の侵入に対する保護等級を示し0-8の9段階で表しています。
これらはiPhoneなどのスマートフォンだけでなく、スマートウォッチ、イヤホン、スピーカー、防水ケースといった電気機器や家電製品の防塵(“ぼうじん”と読み、チリやホコリのことを指します)、防水性能を示す表示として使われています。
防水性能の指標だけなら“IPX”で表すことができます。
防塵の箇所には数字ではなく“X”を入れることで防塵性能での指標ではないことを表せます。
これで防塵の保護等級を省略することができます。
見やすくなりますね。
これらは逆に防水を“X”として防水部分を省略することもできます。
※注意点「省略される=無保護」ではないということ
徐々に理解してきましたか?
下記の表は、防水の指標で“IPX◯”の保護等級を評価している基準です。
表左欄が“IPX◯”の◯に当たる数字となっていて、数字が大きくなればなるほど保護力が高くなります。
ということは、IPX8が一番防水性能が高いという事ですね。
表のように数値化することで水に対してどれくらい保護されているのかを、誰でも簡単に見分けることができます。
等級 | 水に対する保護の程度 | |||
IPX0 | 水の侵入に対して特に保護されていない | |||
IPX1 | 垂直に落ちてくる水滴によって有害な影響を受けない | |||
IPX2 | 垂直より左右15°以内からの降雨によって有害な影響を受けない | |||
IPX3 | 垂直より左右60°以内からの降雨によって有害な影響を受けない | |||
IPX4 | いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない | |||
IPX5 | いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない | |||
IPX6 | いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない | |||
IPX7 | 規定の圧力や時間により一時的に水中に没しても水が侵入しない | |||
IPX8 | 継続的に水中に没しても水が侵入しない |
iPhoneの水濡れや水没の故障について
iPhoneの防水性能
IPコードの仕組みがわかったところで歴代のiPhoneのIPコードはどれくらいなのでしょうか?
同じくApple社の公式サイトを参考に見てみましょう。
もう見方はわかりますね。
iPhoneXSシリーズ以降のものは耐久できる深さは違いますが防塵、防水ともに最高規格のIP68となっています。
【iPhone 11 Pro および iPhone 11 Pro Max】
IP68 等級 (深さ 4 m まで、最長 30 分間)
【iPhone 11】
IP68 等級 (深さ 2 m まで、最長 30 分間)
【iPhone XS および iPhone XS Max】
IP68 等級 (深さ 2 m まで、最長 30 分間)
【iPhone XR、iPhone X、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone 7、iPhone 7 Plus】
IP67 等級 (深さ 1 m まで、最長 30 分間)
しかし実際私たちが、水濡れや水没する時って30分も没することは滅多にないですよね?
それではどうして防水仕様のiPhoneなのに、水濡れや水没により故障してしまうことがあるのでしょうか?
次に水没故障の原因、水没した際の対処法についてご紹介したいと思います。
水濡れや水没による故障の原因
iPhoneは本体上下のケースや電池カバーのすき間にシリコン製のゴムパッキンを詰めたり、両面テープを貼って基板などの電子部位に水が入ってくるのを防ぐという仕組みになっています。
これにより「完全防水」を実現しているんですね。
ところが、出荷時には防水機能が高かったとしても、毎日使用しているうちに少しずついろんな箇所や機能が劣化していきます。
このゴムパッキンが破損したり劣化すると、防水機能が十分働かないことがあるんですね。
更に原因は劣化だけじゃなく、先に触れたようにiPhoneの防水耐性はJISにより定められた試験が行われています。
下記表は認定のための厳しい試験を一覧にまとめたものです。
防水試験は一般的に「常温・真水・一定の水圧」で行われているため、日常生活に当てはらない事が多いのです。
例えば炎天下の海水浴やプールでは常温と呼べませんし、トイレやお風呂の入浴剤や石鹸混じりの水は真水では呼べません。
となると試験時と比べると条件が大きく違ってきますので防水機能が役に立たないことがあるのです。
下記表はJIS C 0920:2003を参考にどんな試験が行われているのかをなるべく簡潔にまとめてみました。
等級 | 水に対する保護の試験装置及び主な試験条件 |
IPX0 | 試験なし |
IPX1 | 滴水試験装置を使用して降水量又は水の流量1+0.05mm/minを10分の試験時間 |
IPX2 | 滴水試験装置を使用して4位置で試験。外郭を15度傾斜させて固定させ4位値で行う。降水量又は水の流量は3+0.05mm/minを各位置で2.5分の試験時間 |
IPX3 | オシレーティングチューブを使用して鉛直方向に対して±60度、全長距離200mmの位置から散水する(各散水孔あたり0.07L/min±0.0035L/minで試験時間は10分)または、散水ノズルを使用して、鉛直方向に対して±60度の位置から散水する(10L/min±0.5L/min、1min/m2、最低5分の試験時間) |
IPX4 | IPX3と同様の装置を使用して鉛直方向に対して±180度の位置から散水する。降水量又は水の流量と試験時間はIPX3の場合と同じ。 |
IPX5 | 放水ノズル(直径6.3mm)を距離2.5m~3mの間で外角に対して、実際に水がかかる恐れのある全ての方向から12.5L/min±0.625L/minの噴流をあてる。1min/m2を最低3分の試験時間 |
IPX6 | 放水ノズル(直径12.5mm)を距離2.5m~3mの間で外郭に対して、実際に水がかかる恐れのある全ての方向から100L/min±5L/minの噴流をあてる。1min/m2。最低3分間の試験時間 |
IPX7 | 真水の入ったタンクに浸す。製品の外郭上端から水面までの距離は0.15mで下端から水面までの距離は1m。外郭自身の温度と5°以上差があってはならない。30分の試験時間 |
IPX8 | 真水の入ったタンクに浸す。IPX7よりも厳しいものすること、更に継続的潜水状態であることを考慮して水位の条件や試験時間は各メーカーの協議による |
誤ってiPhoneを濡らしてしまった際の対処法
①電源オフ
まずは電源を切りましょう。
濡れたまま放置してれば乾くだろうという考えは間違いでショートする恐れがあります。
完全に乾くまでは電源は入れないようにしましょう。
②携帯ケースを外す
濡れたケースが原因でiPhone本体内部に水が侵入してしまう恐れがある為、ケース類は念の為すべて外しましょう。
③水分を拭き取る
iPhoneをタオルなどで優しく拭いて、水分を出来る限り拭き取りましょう。
水分が残っていると、内部に水分が入り込んで故障の原因になることがあります。
綿棒でスピーカーなどの細部も優しく拭き取りましょう。
④SIMカードを取り出す
水没の度合いにもよりますが、SIMカードを守る為に取り外した方が良いでしょう。
⑤乾燥させる
ジップロックに乾燥材とティッシュなどに包んだスマホを一緒に入れます。
更にジップロック内の空気を出して密封しましょう。
あとは内部に侵入した水分が完全に乾き切るまで置いておきましょう。
iPhoneを濡らしてしまった際のNG行動
①iPhoneの電源を入れる
水没直後は使えるかどうか気になり電源を入れたくなりますが、もしも内部に水が侵入しているとショートする恐れがありますので絶対にやめましょう。
データが消滅する可能性もある為、歯痒いですがしっかり乾くまでは我慢しましょう。
② iPhoneを充電する
上記と同じ理由になります。やはり乾くまで待つしかありません。
③iPhoneを振る
なんとなく振れば水が出そうな気もしますが絶対にやめてください。
iPhoneは基本的にパッキンと呼ばれる、ゴム製の気密性を高める物が隙間を防いでいる為、ある程度の防水耐性は期待できます。
しかしiPhoneを振ることでパッキンについた水が内部に侵入してしまう恐れがあり大変危険です。
絶対に水濡れしたiPhoneを振ることはやめましょう。
④ドライヤーで乾かす
スマホのような精密機器は熱に弱いので、ドライヤーの熱でiPhoneの温度もが上がり更なる故障へ繋がる恐れもあります。
なるべく早く乾かしたいという気持ちになりそうですが、ドライヤーなどで無理矢理乾燥させるのは避けた方が良いでしょう。
更にドライヤーの風がパッキンについた水を内部へ侵入させてしまう可能性もありこの手法はとても故障のリスクが高くなるといえます。
まとめ
今回iPhoneに限定して防水性能に関する規格についてご紹介いたしました。
厳密にはiPhoneは防水ではなく耐水であることと、防水機能はiPhone7以降の機能であり、中でもiPhoneXSシリーズ、iPhone11シリーズはIP規格が最上級のIP68であることがわかりました。
一般的に防水が可能な液体は「常温の真水」とされています。
IP68で最高クラスであったとしても使用方法や環境によっては水没により故障する場合がありますので、ご注意くださいね。
水回りで使用する際には防水加工サービスや防水ケースの利用をおすすめします。
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